(1) 五社合併について
 
 昭和46年当時より「1つの工場に納まるのなら、何故1つの会社にしないのか」という意見が同業者をはじめ多方面からよせられました。
 当時この工場を建てる際リーダー役として苦労された故長澤力男社長をはじめ何人かは合併という事を全く考えなかったわけではないと思うのです。
 しかし、当時ですら5社が全く同じ位の経営状態ではなかった事とそれぞれがオーナー社長として創業してきたというプライドなどの諸問題で断念したのではないかと思います。
  しかし、その事によって各社がお互いにライバル意識を持ち続けて、きびしい不況の中でもなんとかやってこれた原動力にもなって、かえって良かったのではないかとおもいます。

(2) 共同工場の利点について
 
A) 共同機械{何社かで購入した機械}
    稼働率の悪い機械や大きな機械を共同で購入する事によって、コストの低 減と共に工場内のスペースの有効利用につながりました。

B) 技術交流及び情報交流
   5社はそれぞれに独自の取引先を持つことで、競合する事も無く外注や受 注も比較的簡単に出来ます、同時に技術供与や共受も行われ各社のレベル アップにつながったと思います。
  最近では月例会を行い、内外の行事の確認決定、現況報告、その他知り得 た 情報を雑談をまじえながら交わしています。

C) 若手従業員の定着性向上
   作業員の高年齢化が進んでいる中で、4〜5人程度の企業に若い従業員は なかなか来てはくれませんが、現在週44時間体制を5社ほぼ同時に実施 した事と、同じ工場内に同年齢の人がいるという事で若年者の定着率は比 に良いと思います。
 また、慰安旅行や忘年会などを共同行事として行う事で従業員どうしの交流もスムーズに行われていると思います。

(3) 共同工場の欠点について
 
A) 企業の独自性の欠如
    数年前工場の増築をおこなったのですが、その際各社の思惑の違いで発案 から実行まで1年近くもかかってしまいました、このように自社の都合だ けでは行動できない事もあり、場合によってはその社の発展を妨げる事も ありうると思います。

B) 秘密厳守
    開発途中の製品を手がける際、デザインや設計の漏洩を心配されるユー ザーさんもなかにはおられるようで、実際には有り得ない事ですが受注 の際の障害にもなり得るのではないかと思います。

(4)

共同工場の将来について
 
 各社とも後継者の顔ぶれも出そろい二世の時代になろうとしていますが、今 後この共同工場をどのように発展させていくかは我々二世の力量にかかってく ると思います。
 産業の空洞化が進んでいる現在、NC機械等の導入による合理化や海外生産 海外進出などは、将来この業界で生き残るためには必要になるかもしれません。 その際、合併あるいは共同出資による別会社の設立などあらゆる可能性を模索 しながら、もっと積極的にかかわりあっていかなくてはならないと思います。

(5)

創業30周年式典
 
 本年9月8日、当協同工場は福岡市内の八仙閣にて創立30周年記念行事を行ないました。
  来賓は招かずに、うちわだけの質素な式典でしたが、この30年を振り返り改めて内外の協力に感謝すると共に各社それぞれ感慨深いものがありました。
  また、現在の不況のなかで、生き残るために各社結束して努力していくことを確認し合うことができました。


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